山行記録

風がテントを震わせる。

外は風が強いようだ。

ここは槍ヶ岳、3000m。

この暗がりの下には山が広がっているのだろう。

寒さに身を縮みこませながら朝ご飯を作る。

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本日の朝食はホットシリアルとチーズクラッカー。

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ただ明らかにクラッカーの枚数が多すぎる。

一人6枚程度の予定が一人20枚になってしまっていたなんて、山崎はお茶目だなぁ。

無言でサクサクする、しばしそんな時間がテント内を支配していた。

 外に出ると寒いだけでなく、雲の中。

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真っ白何も見る事ができない。

風に苦闘しながら畳んだテントは水でぬれしっかり重くなっていた。

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今日の行程は槍ヶ岳をピストンした後、エスケープルートを用いて上高地へ下山。

昨日酷使した足腰に、またもや無理をさせねばならないようだ。

5時20分、槍ヶ岳を登る。

時間そのものは30分足らずと短いのだが道中は梯子や鎖の連続。

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秦さんが梯子にキレたのも無理はない。

住友のザックに、山崎の頭に霜がおりていた。

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ここが山頂、北アルプスの最高峰!

自然と笑みがこぼれる。

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雲に覆われた山頂の一瞬の切れ間から見た風景は、

高さに対する恐怖とともに爽快感にあふれていた。

感動冷めぬまま記念撮影をし、足早に下る。

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槍ヶ岳山頂は狭いのだ。  

およそ1時間のピストンを終え、残る行程は北アルプスにおさらばするのみ。

降りる時間は8時間、高低差はおよそ1500m。

長く厳しい戦いになることは明白だった。

山崎のオレオは砕け散り砂と化し、

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珍しく田内さんが休憩を申請し、

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秦さんは崖から滑り下り、

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しーちゃん・和穂の一年生SLは例のごとく先輩方を置き去りにしていく。自然を愛でる間もなく、カメラを出す隙さえ与えない。

「こんなSLの歩き方になってしまったのは江頭がSLだったせい」となじられたが、

そんな批判はどこ吹く風だ。

自然界では強い奴だけが生き残るのだ。

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さすがに途中でばてて和穂にストップをかけたのは私である。

三年生は「一・二年にトンネルを掘らせればすぐ上高地に着ける!」と画期的な発明を提案していた。

10時20分、槍沢ロッジで一息つく。

炭酸がのどにしみた。

もう腰をあげたくない・・・。

しかしSL和穂がザックをしょって僕らを急かすのだ。

ここからは道自体は平坦になるが、それゆえに辛い道のり。

あと2/3!ひとまず横尾山荘までは頑張ろう。

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12時、横尾山荘。

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太のベンチが並べられ、登山客が思い思いに腰を下ろし足を休めている。

その中でもひときわ疲労感を漂わせているのが自親会の面々だ。

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他の班の方々もしっかりと疲労していた。

口々に聞こえる「早く帰りたい」「温泉入りたい」の声。

気持ちは痛いほどわかるぞッ・・・!

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(こんなに険しい住友の顔は後にも先にも初めてである)

この時、残りの行程を和穂があんなにも飛ばすとは思いもよらなかった。

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容疑者K

「あんなに早く足が進むとは思わなかった。

冗談半分でやったが途中から自分自身の速さに追いつかなくなった。

僕も被害者であるということを忘れないでほしい。」

※プライバシー保護の観点から顔は伏せてあります

グロッキー(ポーチを枕に)

被害者H

「休憩のこと以外頭に入らないような行動を余儀なくされた。

容疑者には深く反省してもらいたい」

おまわりさんこいつです

田内さん

「(小梨平キャンプ場にて)BBQとかやってんじゃねーぞばっかやろうめ、

山登りやがれ山を。

ここで川遊びして自然を堪能したとか言ってんじゃねーぞばっかやろうめ、

中途半端に自然を楽しみやがって。

バーベキュー馬鹿野郎だなほんと!」

※一部に不適切な言葉が混じってしまったことをお詫びいたします

偉大な部長は疲労ゆえ、言葉のオブラートとやらが在庫切れになってしまったようだ。

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横尾山荘から上高地までの道のりはゴボウぬかしに次ぐゴボウぬかし。

途中で休憩をはさみゴボウぬかされをしてまたゴボウぬかし。

途中にあった徳沢ロッジは

「ま、こんなところもあるんだね、はいキレイキレイ」

とやっつけな感想を残して通り過ぎていった。

訓練よりも精神を疲弊したのはこれが初めての経験だった。

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(全員うかない顔をしているね)

疲れ始めるとカウントダウンしかしないしーちゃんは、

僕の後ろで「あと1時間・・・あと40分・・・」と唱えていた。

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そしてついに15時、この長い道のりにも終点がやってきた!

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あの目の前に大きく見える建物は上高地ビジターセンター!

バスターミナルも目の前だ。思えば長い道のりだった・・・。

僕らの進んできた距離に比例して増える軽装備の方々、

疲労に頭が上がらず見た足元には軽い足取りのスニーカー。

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きつくなる「あの人たち、なんであんなにいっぱい荷物しょってるの?」の目線に

登山を嗜んでいたのであろう老紳士からいただく「歩荷ですか、たいへんですねぇ」の言葉。

僕、下界が憎いよっ・・・。

~移動中~

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(アゴ)大地(アゴ)

えあああああ

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「いやぁ下界最高っすわwww」

無事バスにのり電車を乗り継ぎ帰ってきました松本!

調べておいた温泉につかり、

瑞祥 いいお湯でした

残すは打ち上げのみ。

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すっかり心も体も軽くなった我々の魂の叫びである。

実はここで二年生はアルバム作りに四苦八苦、

恒例の町中ダッシュや印刷できるコンビニ探し、

なかなか集まらないメッセージカードと

チームYUICHIROに関しては自分のSDカード破損による深刻な写真不足。

迫りくる宴会開始の時刻に戦々恐々としていた。

そして無事遅れた。

一方、宴会場でも大事件が。

なんとグループ内に一人でも未成年者が居る場合にはアルコール類は出せない、

かつプランの変更もできないとのこと。

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(加藤「いやぁ、これはちょっとないよなぁ」)

許さんぞモン○ローザグループ、

なんたる横暴だモ○テローザグループ、

僕たちの楽しみを返せモンテローザグループ!

しかし憤っても仕方ない、お酒のない一次会もまた乙なもの。

運ばれてくる料理を食べ、悔し紛れにノンアルコールを飲み、

お互いの健闘を称え合った。

2泊3日といささか短いもの、よく動きよく歩いた長期登山だった。

さて、二次会はお酒をのむぞ~!

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「え?二次会も僕は飲んではならないんですか!?」

もう松本なんて大嫌いだ。

好感度が大幅に下がった。

先輩方は飲めていいなぁ・・・思えば去年の長期もお酒を飲めていない。

長期終わりの打ち上げにはことごとく嫌われているようだ。

個人的な感想はさておき、先輩方にお酒が回ってきたところでそう!

先ほど四苦八苦していたアルバムをプレゼント!

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世代交代とやらですか・・・がんばります。。。

続いて行われた部長引き継ぎでは健生が部長になることが決まった。

彼がここから一年自親会を牛耳っていくと思うとワクワクが止まらない。

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(3コマ漫画です) 

疲れた自親会員達は今夜の宿を求め夜の松本をさ迷い歩く。

駅を寝床に定めた僕は銀マットに寝転がり、槍ヶ岳を夢に見る。

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二日目

文責 江頭