大朝日岳 記録
(写真媒体の扱いがひどく苦手なため、文章のみで記録を書くに至った。心の中に風景を思い浮かべていただきたい。)
肘傘雨、という言葉がある。思いがけない雨に降られ、肘を傘代わりにしてしのぐ雨らしい。この朝日の山行は、予期していたという部分は確かにある。しかし、傘を持っていない私たちに降りかかってきた、と言う点では肘傘雨だったのかもしれない。
第一章 淫雨
風邪は引いているかもしれないけれど、温度計は熱がないときが怖いから見たくない。
風邪は引いているかもしれないけれど、温度計は熱がないときが怖いから見たくない。
そんな気持ちに似ているかもしれない。
この、曇天とにらめっこしながら、あえて天気図を凝視せず、「きっとこの山行は延期になるな~」という気持ちをもちながら朝日に近づいた。
車のガラスにへばりつく雨水が、線を引いて後ろに流れていった。
この、曇天とにらめっこしながら、あえて天気図を凝視せず、「きっとこの山行は延期になるな~」という気持ちをもちながら朝日に近づいた。
車のガラスにへばりつく雨水が、線を引いて後ろに流れていった。
第二章 村時雨
古寺の駐車場についた。すこしやんだ。
明るくも曇っている曇り空を見て、恨めしくも何かあきらめたような心持ちだった。
「頑張れるところまでいこう。」
満場一致で各々、ザックにカバーを着せてやり、雨具に体を包んだ。先発のチームの鮮やかな後ろ姿が森の中に消えていくのを見送り、後発のチームを後に残して、駐車場を後にした。
第三章 甘雨
湿度の高すぎる空気は、息をしていたことを思い出させるほど。しっとりとした、塊となって咽喉に入り込んでくるのが感じられた。
そこまでひどい雨ではないが、草木が絶え間なく雨水を振りかけてくるような、優しくもなにか心の疲れる雨だった。
第四章 遣らずの雨
名残惜しいのか、はたまた早く引き取って欲しいのか、山の気持ちは分からないが雨脚が少し強まったような気がした。
それもあって、来た道を引き返すことにした。
登りでであった水色のあじさいが、雨に濡れて少し重たげな首をかしげているように思えた。
平成最後となたった朝日山行、もとい通常山行は雨で締めくくられることとなった。来年こそは、晴れて欲しい。そう思った一日だった。
文責 小室