山行記録

<1日目>

6月20日の4時、薄暗い中唯一明るい部室に集合。幾人かは遅刻をし、後々先輩方に戒められた(ごめんなさい)。

あらかじめ(まさきよさんの陰謀と策略により)定められたレンタカーに乗り、早池峰山がそびえ立つ岩手県を目指す。余談であるが、今回も「ゲスcar」なるものが存在したらしい、僕は存じ上げないが。なぜか僕の乗った車は全員がであった訳だが。往々にして、内側から真理は見えないものである。

早朝の高速道を時速120kmで駆け抜け、僕らよりも30分出発の遅い岩手山組・あかりんcarに140kmで抜かれ、無事8時10分頃に岳駐車場につく。

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8時31分、駐車場を後にして10分ほど歩き登山口へ。秦さんを見下すかのような集合写真をとり、チームAKITOは山道に足を踏み入れた。DSC_0039

山道を登り30分、うっすら汗ばんできた頃に体温調節を兼ねた休憩をとる。すぐさま上着を脱ぎ半袖に変え、山の冷気を全身で感じる。風が心地よく、木陰から漏れる日に光が爽やかだ。各々が柿ピーやチョコレートなどのお菓子を口に運ぶなか、SLの吉野さんはおもむろに練乳を流し込んでいた。さすが吉野21(トゥエンティーワン)、大人の風格が漂う優雅なブレイクタイムである(?)。IMG_8773IMG_8775

9時40分、見渡しのよいちょっとした崖のような所に出る。先輩方の指示で地図読みの練習、「第一次ココドコ論争」が勃発した。「902mの地点を過ぎていない」と主張する我らがhead、野口派と「902mを少し越えた等高線の突き出たところ」と主張する吉野派。自分は吉野派に属しており、避難小屋が見えればこちらの勝利ということで登ること20分、無事小屋を発見し、ココドコ論争は我々の勝利で幕を閉じたのであった。IMG_8784

避難小屋では先住民が体を癒しており、杜の都・仙台からはるばるやって来た我々AKITO探検隊がコミュニケーションを試みたところ、彼らは「HARRUPI」の名を冠するうら若き農業系美女を首長とし、登山を生業とする山岳民族らしい。部族の若者であるITOという青年にやたらと高いテンションで絡まれたが、触らぬ神に祟りなし、クールに無視を決めこんだ。また我が隊は山に棲むと云われる伝説の森の精・ハタの姿をカメラに納めることに成功した。IMG_8866

野口隊長の「る~るるるる」という呼び声に反応したものらしい。小屋には自由帳のようなものが残されており、野口さんが記録を残していた。次に見るのはいつの日か、楽しみである。The HEAD 参上!

小屋での休憩を終え、再び山道に戻る。目の前には堂々とニセ鶏頭が。道は徐々に砂地が少なくなり岩場が目立ってきた。お互いに足元への注意を喚起しつつハシゴ場を渡る。左右には迫り来る岩壁。岩の割れ目に咲く一輪の花が美しかった。眼前にニセ鶏頭IMG_8807IMG_8812ミヤマオダマキ

険しい岩道を抜けると開けた場所にたどり着いた。ここがニセ鶏頭の頂上らしい。周りの山々も一望できる場所なので岩手山を確認しようとコンパスを確認したところ、なにかがおかしい。全員のコンパスの針が別々の方向を指し示すのだ。どうやら頂上の石の一つが磁気を帯びており、それによってコンパスに狂いが生じたようである。地球の神秘の一端に触れられた気がした。

残すは正面に見える鶏頭山。ニセ鶏頭と比べてどうしても威厳のないように見えてしまうのは、ニセ鶏頭と違い緑が豊かであり、柔らかな印象を与えるからだろう。

ようやく姿を現したホンモノ

後ろには真剣な表情でカメラを構えフォーカスを調節し、鶏頭山の花々をフィルムに残そうと試行錯誤する野口さんの姿があった。

鶏頭山への道のりは存外に短く、30分足らずで三角点を踏む。ニセ鶏頭と同じく展望が開けており、四方の山々を眼下に納めることができた。岩手山が雲でおおわれていたのは偶然であろう。そういえばやっさんは今頃岩手山か・・・。.IMG_8825IMG_8824

山頂では恒例のティータイムが始まる。「歩荷」と称して持ち寄ったおやつを山頂で食す、なんと優雅なひとときであろうか。通常は上級生のみらしいが、さすが今年の一年生は優秀である(自画自賛)。高橋はスティックパン、塚原はビスケット、江頭は団子、みなみんはさくらんぼを持ってきていた。先輩方いわく「異常事態」だそうだ。秦さんのわらび餅を味わい、嶌田さんのバナナ(他意はない)で小腹を満たし、前述のお菓子を楽しんだ僕らは気付けば30分も休んでいた。IMG_7384DSC_0157IMG_7386

12時20分、頂上からの絶景に後ろ髪を引かれつつ、ずるずると下山を開始。途中ですれ違った中年の登山客の方々に仙台二高と間違われてしまった。みなみんの着る、バックに大きく「仙台二高」とプリントのされたそら色のシャツのせいであろう。なんとも自己主張の激しいシャツである。

ニセ鶏頭を通り、険しい岩壁を抜け下ること30分、薄暗くなっていた空から雨がこぼれ落ちる。急ぎ足で木陰に逃げ込み、各々が雨具に身を包んだ。

気を取り直して再び登山道を急ぐなか、小屋を少し過ぎたあたりで天候が再び急変。光こそ見えないものの、周囲に雷鳴が轟く。大事をとった吉野さんと野口さんの指示を受け、しばらく小屋での停滞することに。10分ほど留まり、体も休まったところで雷の合間を縫うようにして出発を試みるも再び響く雷鳴にあえなく撤退。1分ともたたずに小屋に舞い戻るのであった。小屋にて一時停滞

今回の撤退は長いとふんだ我々1年生は、上級生の天候への心配をよそに各々欲望にも基づく勝手な行動を開始。床に腰掛け仮眠をとるみなみんを横目にトランプをとりだしカードゲームに興じ始めたのは江頭、塚原、高橋の3人である。IMG_8838トランプに興じる一年生

ひとしきり盛り上がった30分後の13時50分再び小屋を出発を出発。53分、小屋に帰還。・・・先程から同じ道を行き来するのみである。全く進展しない道程と天候にしびれを切らした野口さん、落雷の可能性は低いと見て下山を決行。かれこれ1時間ほど留まった避難小屋を後にした。慌ただしい下山の始まりである。

ここからの下りは素早かった。20分で崖のような場所につき、10分で902m地点を通過、走り出す吉野、追いかける僕ら。なんと登山口に着いたのは2時42分、1時間足らずで小屋からの下山を果たした。下山後、吉野さんは飄々とした顔で「みんななら大丈夫でしょ」とおっしゃっていた。彼の足の長さに嫉妬すら覚えた。

駐車場に着き水を補給、準備が整い次第車に乗り込み薄雪山荘を目指す。途中で大型バス2台とすれ違うダイナミックな運転を体験した。IMG_8846

うすゆき山荘には先客が2組いたが2階3階をうまく利用し全員分の寝床を確保した。IMG_7389

17時頃に食事係の作った焼き鳥丼をいただいた。大変美味しゅうございました。IMG_8847DSC_0215

疲労と満腹とで19時に寝袋にもぐるや否や眠りについた。余談であるが、秦さんは噂通りの高橋の寝相の悪さで十分に睡眠が取れなかったらしい。朝には疲労の影がありありと見えていた。また夜空を撮ろうとした野口さんは「欲望に従うがままに」熟睡してしまい、起きた頃には星が見えなくなっていたそうだ、ドンマイ。

<2日目>

3時に起床し、身支度を整える。30分ほどで朝食のお茶漬けが出来上がっていた。ご飯に対して缶詰のシャケが少なかったり塩気が足りなかったりと、様々な反省が挙げられたが、それでも美味しくいただけた、ごちそうさまです。

4時30分には小屋を出発、ビジターセンターのある早池峰山登山口を目指す。しかし僕らの車は一台駐車場を通り抜け、気付けば薬師岳の麓までたどり着いていた。そう、真面目さ溢れる大地&秦ペアはわざわざ下見に足をのばしたのだ。駐車場を見失ったわけではない。駐車場に着くと、ほかの班員は「なぜ一本道なのにも関わらず1番先頭に出発した秦を抜かせたのか」と小首をかしげていた。DSC_0274

そうこうして全員無事に駐車場に着き5時17分、登山口にて記念撮影をパチリ。DSC_0281

天候もよく絶好の山行日和のなか歩みを進める。道中で見つけたクジャクシダに秦さんの頬が緩んでいた。やはりシダに対する愛は並みではない。

合間合間の水場などで休憩を挟む。後ろを振り向けば緑の山々、前を仰げばチームはるかという状態が続く。DSC_0318DSC_0319DSC_0313

はるか班を抜かし、抜かされ、ともみんがまさきよさんに「典型的なデブ」と罵倒されるのを耳にしながら山頂を目指す。ハヤチネウスユキソウの白色とまさきよさんの毒舌が心に染みた。DSC_0363

周りの景観を楽しみながら8時4分、頂上に着く。わりかし早足で登っていたことや交通規制との兼ね合いもあり山頂で1時間の休憩をとる。岩に腰掛けスタイリッシュに音楽を聴く八田さん。山頂でリラックスタイムのはったさん

岩に寄りかかりスタイリッシュに音楽を聴く八田さん。IMG_8949

ウォークマンの宣伝かとまごうほどの身のこなしだった。またAKITO隊長は森の精・ハタの捕獲に成功したそうだ。IMG_7416

外の方々も思い思いに山頂を楽しんでいた。野口さんのピークハントIMG_8927山頂IMG_8941IMG_8939IMG_7430DSC_0399DSC_0395

一日目と同様、山頂での楽しみと言えば歩荷である。野口さん自前の火器で沸かしたお茶を片手に、吉野さんがナイフで分けてくれた羊羮を頬張る。上品な甘味が疲れた身に染みた。お茶ごちそうさまでした!DSC_0403

しかし9時15分、事態は急展開を迎える。左手に見えていた早池峰山剣ヶ峰が雲で隠れはじめ、ボランティアの方に雷雲の接近を告げられる。急いで下山の準備。キレそうである。DSC_0408DSC_0415

10時、木道をたどりつつ御金蔵につく。一見人工物にみえる直方体の岩だが、ビジターセンターによると自然が作り上げたものらしい。再び自然の神秘を発見した。DSC_0423

道中で修験者の御一行に遭遇した。早池峰山は山岳進行が盛んであるとの情報を実感できた。

小田越登山口まで1時間の道のりであったが、秦さんが「ヒカゲノカズラとスギカズラの違い」について目を輝かせてながら語り、野口さんが「火星で飛ぶための飛行機」について話してくれた。やはり理系はしゅごい。

小田越登山口からの車道は歩きやすくはあるが衝撃が直接返ってくるため、むしろ膝に厳しいものとなった。DSC_0430

駐車場まで差し掛かったところに宮沢賢治の記念碑がひっそりとたたずんでいた。

登山口に着いてからは交通規制がとれるまでビジターセンターでのんびりと資料を見たり、雑談したりと思い思いに早池峰山の余韻に浸る。DSC_0452

車で30分ほどの温泉につかり、汗と疲れを流した後は各々の運転手に道を任せるまま、帰路に着くのであった。DSC_0461

<文責>江頭(こぶ←なかなか普及しない)